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ビーチ夫人のシンフォニー [音楽]

体調最悪。仕事大変。ご訪問者のブログを回り切れません。なんとか何回かに分けてと思っているのですが、しばしご容赦。記事はとにかく仕上げとります。 

エイミー・ビーチ/交響曲ホ短調OP.32『Gaelic=ゲーリック』

第1楽章だけの印象であれば、迷わず、ブラームス/交響曲第5番といいたいところだ。
かなり前にピアノ五重奏曲を紹介したことがあるけれど、そのころ彼女のこんな作曲家としてのスケールは想像していなかった。
エイミー・ビーチ、アメリカ合衆国で生まれで最初に自作交響曲をベルリンフィルハーモニカーが演奏した作曲家にしてピアニスト。
第1次大戦で1914年にドイツから強制送還されるまで、その活動の本拠をドイツに置いた。
そして、彼女の最も輝いていた時代もこの頃だ。
彼女の書いた唯一の交響曲は『ゲーリック』という副題がつけられているが、いわばイギリス諸島の民族音楽を取り入れた歌謡楽章からケルト民族、ひいては『アイルランド風』とでも言うようなものだとされている。

第1楽章 アレグロ コン フォーコ
第2楽章 アラ シシリアーナ-アレグロ ヴィヴァーチェ-アンダンテ
第3楽章 レント コン モルタ エスプレッシオーネ
第4楽章 アレグロ ディ モルト

第1楽章は女流などという言葉がぶっ飛んでしまうほどの堅固で精密な構築。
風通しのよいブラームス。

第1楽章です。




そのたたみ掛けるようなアクセントはセザール・フランクのようなブラームス張りの厚みをともなって鳴り響く。
オーケストラの息づかいがもう少し作品の間合いを詰めてくれたらという気もするけれど、ぎこちなさなどどこにもない。
この人の天才はブラームスのみっちりと目の詰んだ頑丈なフレージングにワグナーのような和声が奇妙に調和していることか。
ただ、第1楽章は、ベルリンフィルがこれをイメージするのにブラームスを想起したのがよくわかる。
以前音を色彩として捉える特殊な能力、『共感覚』について書いたことがあるが、この人もドビュッシーやマイルス・デイヴィス、現代のピアニスト、エレーヌ・グリモーと同様この感覚を持っていた人だと言うことだ。
フランス音楽のようなオーケストレーションの色彩感覚の豊かさはその辺の能力と関連があるのかも知れない。
ブラームスのモノトーンの煌めきと異質の色彩の重層的音構造が目の詰まった音楽を息苦しく感じさせない大きな要因だろう。
第2楽章は牧歌的なホルンの中に民謡風のメロディが流れ、それがクラリネットに引き継がれて行く。
管楽器が非常に美しい。
そして弦のトレモロの中から、スピーディなアレグロ・ヴィヴァーチェが始まる。
弦楽、管楽の交錯が遁走的に進行する。トライアングルがなければ、ちょっと懐古的。
第3楽章の抒情と民族的なカンタービレは、ワグナーの融通無碍と結びつき、感覚的に優美で実にメロディアス。
ヴァイオリンのソロに顕れる歌は爽やかで麗しい。
ブラームスの第1交響曲のオクターブをあげてオーケストラの上に出るヴァイオリンのあの瑞々しいソロを思い出させる。
第4楽章もフィナーレにふさわしい活発なシンフォニーだけれど、弦楽がテーマと交差する部分の数瞬の音の交感の間が、おそらく、この演奏よりはもう一段と厳しいやり方で演奏されるともっと映えるのだろう。
この楽章の血は完全にアイルランドの夕日の中に沈む太陽の色だ。

こういう曲の作り方をすると、多分一曲でもう事足りるんだろうな。
この後彼女は様々な音楽技法を取り入れて、自分の芸術的な引き出しを広げて行くのだけれど、彼女が作りたい音楽と聴衆が聴きたい音楽はこの交響曲当たりで交差し、互いに後は遠くに離れて行くだけだったのかも知れない。

Amy Beach:

Amy Beach:

  • アーティスト: Amy Beach,Kenneth Schermerhorn,Nashville Symphony,Alan Feinberg
  • 出版社/メーカー: Naxos
  • 発売日: 2003/06/17
  • メディア: CD(象徴的なジャケット。貴婦人の釣姿。よくこんなの探すねえ。)

William Grant Still: Afro-American Symphony; Amy Beach: Gaelic Symphony

William Grant Still: Afro-American Symphony; Amy Beach: Gaelic Symphony

  • アーティスト: Amy Beach,William Grant Still,Karl Krueger,Royal Philharmonic Orchestra
  • 出版社/メーカー: Bridge
  • 発売日: 1999/07/20
  • メディア: CD

Barber: Symphony No. 1; The School for Scandal Overture; Beach: Gaelic Symphony

Barber: Symphony No. 1; The School for Scandal Overture; Beach: Gaelic Symphony

  • アーティスト: Samuel Barber,Amy Beach,Neeme Järvi,Detroit Symphony Orchestra
  • 出版社/メーカー: Chandos
  • 発売日: 1992/10/28
  • メディア: CD

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コメント 9

ミルク

ソネットのサーバーの込み具合なのか、
とっても重たい時がありますよね。
さくさく動いてくれると巡回も速いのになって思うことあります。
私のVISTAが重いのか!?
by ミルク (2009-11-25 08:21) 

SilverMac

女性作曲家のシンフォニーは珍しいですね。探してみます。お大事に。
by SilverMac (2009-11-25 09:55) 

nomame

ご無理なさいませんように。
by nomame (2009-11-25 19:20) 

ruriy

私も仕事、苦戦しております。^^;
体調いかがですか?お大事にしてくださいね。
by ruriy (2009-11-25 19:48) 

Mineosaurus

ミルク さん<
ご訪問ありがとうございます。So-netの重たいのは今に始まったことではありませんが、しかし、何といかならんものですかね。ボクはVISTAではありませんが、立派に重たいです。
SilverMacさん
<体調悪いときは早く寝た方が良いのですが、こういうときに限って妙に起きていらん事をする癖があるのですねボクは。せっぱ詰まってくると他のことを始めてしまうのです。ビーチ夫人はピアニストとして非常に優れた方だったそうです。
nomameさん<
ありがとうございます。滅多に弱らないのですが…それでも少しは復活の兆しがありますね。
ruriyさん <
ありがとうございます。ruriy さんもご無理をなさらないよう頑張って下さい!
by Mineosaurus (2009-11-25 21:21) 

yakko

こんばんは。
体調がお悪いんですか、どうぞ お大事に。
by yakko (2009-11-25 21:42) 

デルフィニウム

お仕事が大変な上に体調悪化では何かと大変ですね。
by デルフィニウム (2009-11-26 11:00) 

skimble

こんにちは。scoskiです。
体調がおもわしくないのですね。
あまり無理をなさらず、ゆっくり静養なさってください。
どうぞお大事に。
by skimble (2009-11-26 17:30) 

Mineosaurus

yakko さん
デルフィニウム さん
skimble さん
お気遣いありがとうございます。少し調子が戻ってきました。相変わらず忙しいですが、何とかなりそうです。
by Mineosaurus (2009-11-26 20:01) 

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