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いくらなんでもご無沙汰です。 [音楽]

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いくらなんでも…

海外からのメールに返事するまもなく放置していたら重病を患っているらしいという噂が立ってしまっていて、
何人かの住所を知らせている方からは、達筆の英語で(ビジネスライクにワープロか何かでよこせばいいのに)
ボールペンなんかで書いてくるから読めない。
生きているのですが、もう少し4月の予算が仕上がるまではどうにもなりませぬ。
ブログをこんなに休んだのは今までなかったことでありますが、
もう少し時間がかかりますね。お見捨てなきよう。[あせあせ(飛び散る汗)]
猫の画像も時間が限られているので気分転換できる貴重な時間をどう使うか迷いつつ
昔のように夜更かしも出来ず、描きかけのものを幾つか同時に手を付け始めたところです。
もう少し復帰に時間がかかりますかね。
ゼロからのつもりで、時々皆様のブログを覗いております。

3月には岐阜に車でとんぼ返り、5月には滋賀で1泊2日ジジイにはきついので
何年ぶりかで奥さん同行ですわい。

音楽はフォルクマンの弦楽のためのセレナーデ第3番ニ短調からの抜粋。
このドイツの作曲家は音楽的にはドイツ・ロマン派に分類されている。
YouTubeでも演奏のほとんどが削除されてしまって聴いて欲しい作品が次々と姿を消してゆく。
HMVでピアノ三重奏曲がつい最近手元に届いた。
シンプルでリリカル。
それはこのセレナーデも同じ。彼には3曲の弦楽のためのセレナーデがある。
どれもお気に入りなんだけど、YouTubeでは埋め込めないものが多いね。





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断固たる19歳 [音楽]

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ジョルジュ・エネスク/ヴァイオリン・ソナタ第2番ヘ短調op.6

第1楽章 とてもいきいきと
第2楽章 静かに
第3楽章 速く


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1899年、彼が19歳の時の作品。
全盛期に書かれた第3番の高みにはないけれど、いや、この年令で書かれたヴァイオリンの作品としては抜群の完成度。
彼がパリ音楽院に入ったのが15かそこらで、これはその4年後に書かれている。
マスネやフォーレに支持した作曲部門での近代フランス音楽の影響下にあったのは一聴して理解できるけれど、印象派的な浮遊感とグルービィな空気感よりも明確に作曲技法と演奏技術の現実的融点を手に入れている。
晩年彼は盟友であった夭折のピアニスト、ディヌ・リパッティとこの第2番も実演の録音を残している。
その第1楽章は抜きがたい憂いが清新なピアノで洗われながらも蜘蛛の糸のように漂うヴァイオリンの旋律に繰り返される。
フレージングにフランス音楽の香りは漂うけれど、曖昧さはなく、点から点へピシリとした意思が音楽を紡いでいる。
情景は意識の外に追いやられ、イメージは不思議とモノクロームでエゴン・シーレを眺めているような思いをさせる。抒情的で内湛んだ主題はヴァイオリンに顕れる度に深化し、ピアノのクリアな波の上に浮沈を繰り返しては命のように蘇る。
技術的にもそう単純とは思えないけれど、全てが自発性に満ちていて音楽そのものに寄り添う。
高い技術レベルに作品の質の高さが融け合う。
こういうのが妥協のない演奏家が作る楽曲というのだろうか。
第2楽章はなんとも美しい。
表面的なものではなくて第一楽章の主題は旋律面をいっそう浮き立たせて静謐な、思いを押し殺して勁く歩む。
ピアノが前に出るとそこで素晴らしい協奏が生まれ、その後のピアノによる澄んだ表情が浮き上がる。ヴァイオリンは遠くから囁きボクが最も好きな部分へ入る。
絶妙のアンサンブルにヴァイオリンのトレモロが嫋々と流れ、長いフレージングが次第にテーマに戻ってゆく。
なんていうか、すでに頭のなかで音楽は出来てしまっていたのだろうね。
それから考えると幾通りもの演奏っていうのはあまり聴けないのかも知れん。
最終楽章は思い返したようにテクニカル。
ピアノはヴァイオリンを支えるリスムに徹し、
ヴァイオリンはテーマを繰り返しながら気分は全く異なり、変幻自在で即興的。
うん。例えばいくつかの約束事を決めておいてその間をつないでゆくヴァイオリンは霊感の赴くままに走っているような、そんな行書的な速度感と爽快感がある。
非常に舞踏的で煽動的である。
こういうところがヴァイオリニストとしての彼の天賦の才。
マスネやフォレの音楽ではないね。滲んだところが一片もない。

汲み尽くせないね、この先生。


YouTubeには上述した本人とリパッティの演奏もあるけれど、第3番同様現代の演奏家のものをチョイスした。
第2楽章を





Violin Sonatas 2 & 3

Violin Sonatas 2 & 3

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Hyperion UK
  • 発売日: 2002/07/09
  • メディア: CD

Sonatas for Violin and Piano

Sonatas for Violin and Piano

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Priory Records
  • メディア: CD
Violin Sonatas

Violin Sonatas

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Claves
  • 発売日: 2009/01/02
  • メディア: CD
Violin Sonatas 2 & 3

Violin Sonatas 2 & 3

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Ondine
  • 発売日: 1995/02/01
  • メディア: CD

Sonatas for Piano & Violin

Sonatas for Piano & Violin

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Hungaroton
  • 発売日: 2005/09/05
  • メディア: CD




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明けましておめでとうございます。 [音楽]

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なんということか、この歳になって忙しさがいや増しになり、処理能力が追いつかない。
子どもたちはまだまだ一人前にはならず、当分現役を続けることになる。
今年も大変な一年になるとそんな予想をしているけれど、不定期でもブログはなんとか続けてゆこうと思っています。
気長にお付き合いくださいませ。

1年最初の音楽は迷わず一度紹介したマリス・ヤンソンス指揮のオスロ・フィル 。
シベリウスの『アンダンテ・フェスティヴォ』短いけれど滋味溢れる音楽です。YouTubeにはたくさんの同曲がアップロードされていますが、一つ一つ聴いてみてやはり以前紹介したこの演奏に行き着きました。

今年も良い年でありますように。


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マイルストーン [音楽]

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リヒャルト・シュトラウス/弦楽四重奏曲イ長調op.2

第1楽章 アレグロ
第2楽章 スケルツォ:アレグロ モルト
第3楽章 アンダンテ・カンタービレ モルト
第4楽章 フィナーレ:アレグロ ヴィヴァーチェ

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習作というには練り上げられている。
シューベルトや何よりもモーツァルトの霊感を借りたところもあり、弦楽四重奏曲は17歳の時のこの作品で自分の音楽表現が先人以上のものにはならないと覚悟したのか。
室内楽という分野が自分の居場所ではないと考えていたのか、チェロ・ソナタやヴァイオリンソナタも似たような年代で終わっている。
ドビュッシーやラヴェルが残した1曲と同じ数ではあるが、やはり才能の趣が大きく異なり、自分の学んできたアンサンブルで可能な創造が過去の先人たちを通過してきたものに他ならないという意味が大きいように思う。
つまり、なんだ、『ちょっと創ってみました』的な。
それでもね、第3楽章は美しいね。標題音楽以前の彼の血の中にある音楽表現で最もいい流れを聴かせてくれている。
チェロが雄弁に歌う部分のシューベルト風の歌は彼岸の向こう側に立つ自分の姿を見つめるような悲しみには届かないけれど、そういう静謐な音楽をそこで生み出せる才能のきらめきを見せて余りある。
以後この分野を振り返らないシュトラウスのアンダンテは歌曲や後の交響詩の中の弦楽合奏に姿を変える。
残念なのは演奏者の熱が旋律を美しく追うだけにとどまっていて第1楽章からフィナーレまでの起伏に必ずしも共感しきっていない気がすることだ。
「17歳の音楽にそんなに頼り切るなよ」と呟きたくなるね。


YouTubeではこの第3楽章。もう少しメリハリがあれば第1楽章もいいのだけど。

映像はスペイン、カタルーニャの同時代の画家フランセスク・マリエラの「Winter 1882」
彼女が両手を突っ込んでいるのがにゃんこの毛の手触りによく表現される『モフ』の原型。
16世紀のからの女性の防寒具である。

ロータス・カルテット~オペラハウスを席巻した3人の作曲家の弦楽四重奏曲~

ロータス・カルテット~オペラハウスを席巻した3人の作曲家の弦楽四重奏曲~

  • アーティスト: R・シュトラウス・ヴェルディ・ロッシーニ,ロータスカルテット(小林 幸子)(藤森 彩)(山﨑 智子)(マティアス・ノインドルフ)
  • 出版社/メーカー: ナミレコード
  • 発売日: 2014/05/25
  • メディア: CD

String Quartet/Metemorphose

String Quartet/Metemorphose

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: MD&G Records
  • 発売日: 2003/02/25
  • メディア: CD


Kreisler/Strauss;String Qau

Kreisler/Strauss;String Qau

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Arabesque Recordings
  • 発売日: 1993/08/04
  • メディア: CD

Quartet String/Quartet String

Quartet String/Quartet String

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Hyperion (UK)
  • 発売日: 1989/05/01
  • メディア: CD





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音楽が留める涙 [音楽]


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ヤナーチェク/ アンダンテ

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弦楽合奏のための楽曲を彼はいくつか残している。
その幾つかはとても美しく、彼のオペラ『利口な女狐の物語』の中のアダージオに見せられたボクは一時期彼の弦楽合奏曲を探しまわって聴きあさった。
アンダンテでは牧歌的な弦楽オーケストラのための『牧歌』の第1曲が美しい風景を描きこんだおだやかな望郷的作品でボクは好きなのですが、
ここで聴くアンダンテはそれとは違う。
上記の作品がドヴォルザークを思わせる雰囲気を持つのに対し、この曲は悲しむべき闘いの跡の黒く焼け焦げた匂いが鼻を突く中に煤だらけの顔を上げて立っている若い母の姿を思い浮かばせる。
彼女は決して為す術もなく呆然と立ち尽くしているのではない。
失ったものの大きさを知っている。
彼女が待ち続けた者の帰郷がただの望みになったとしても、それでも
彼女の心の芯の中に勁く、しなやかに残っているものは失われることはない。
愚直なまでの現状肯定とそこから飛躍する力が、瞳の奥に光を宿している。
涙は瞼の縁にとどまり、頬を伝うことはなく、やがて煙に燻されて揮発する。
灰色の厚い雲間に澎湃と光が射し
焦げた大地に斜めに影を落としたその母の足元に同じ覚悟の目をした幼子が彼女の粗末な上着の袖をしっかり握りしめて
ただ黙って立っている。
彼女の右手はすべての思いを伝えた後の安息の優しさでその小さな頭に置かれ
自らと子供のために言い聞かせる。

「Wir leben hier」









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煤と膠と香料と [音楽]

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ベートーヴェン/ピアノソナタ第32番ハ短調op..111

第1楽章 マエストーソ  アレグロ コン ブリオ エド アパッシオナート

第2楽章 アリエッタ .アダージオ モルト,センプリーチェ エ カンタービレ

何度聴いても掴みどころがなくて、水の底が見えてるはずなのに覗きこむと蒼く澄んだ水の底は息を止めていられる間にはとても届かない。
すべてが濃く粘着力のある煤のような、指先についたが最後容易に洗い流せない個性が到達した音化した情熱の最終形態。
その意志の濃さと有機的に結びつく精神の浄化。
極めて個人的で主観的な音楽の自由が白い和紙の上に墨痕として太く残ってゆくその筆跡は普遍的である。
第1楽章は作品57で閉じたはずの高度で技術的な攻撃性と荒々しさが太い筆致を残す。
ペンよりも先に頭で鳴っている音楽が突っ走りながらも、短いコーダには滲むように第2楽章を予感させてゆくあたりは、怜悧な設計を感じさせる。
どこに向かって収斂させるべきか、ハ短調からハ長調への道筋に明確さが見える。
第1楽章はこれに続く主題と5つの変奏が最も映える形で消えるように閉じる。
第2楽章は第1楽章で描いたコーダの残像が耳に残る間に滲むような波紋の中から揺れるように歌われて立ち上がる。
変奏の中にこれほどの深い内省が覗ける音楽はあまりない。
主題と変奏のバランスや技術的な処理などというものではない。
煤はもう燃え尽きた煤ではなく、膠で練固められた表現のための精神的な塊である。
そこから『フランツくん君はここにいるよ』とでも言っているような、つぶやくような厳しい叙情があったりする。
そして、何度聴いてもその歌の無比な高さの中に転調されて弾ける即興性を感じさせてやまない間奏。
短いがここだけ取り出せば、それは伝統音楽の中に不意に降りてきたラグタイムのようであり、驚くほど近くにジャズのイデオムが聴き取れないか。

ピアノ・ソナタという楷書から引き出された2楽章の行書。
煤と膠はそこに加えられた香気によって深い墨痕を心に残す。
様々に語られるベートーヴェンの姿はボクの中ではどうしても彼の後期の作品と結びつかない。
何度も繰り返して聴くほどに、ベートーヴェンという名はボクの耳から抜け落ちてゆく。
他にどんな聴き方をすればいいのだろう。

ふと気が付くと、もうこの作品を聴くような季節になったのだなあと思った。

様々な演奏があるけれど、現代の方から遡る演奏。少し墨が薄いけれどね。第2楽章を


 ブラームスもそろそろいいかなあと…思ったりする。

Beethoven: Piano Sonata No.32

Beethoven: Piano Sonata No.32

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Decca Special Imports
  • 発売日: 1999/05/24
  • メディア: CD

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集[4] 第21番《ワルトシュタイン》/第27番/第32番

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集[4] 第21番《ワルトシュタイン》/第27番/第32番

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: 日本コロムビア
  • 発売日: 2014/11/26
  • メディア: CD

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集 Vol.7(第30~32番)(紙ジャケット仕様)

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集 Vol.7(第30~32番)(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト: グールド(グレン),ベートーヴェン
  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
  • 発売日: 2007/09/19
  • メディア: CD


ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ 第32番 ハ短調 作品111

ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ 第32番 ハ短調 作品111

  • アーティスト: グルダ(フリードリヒ),ベートーヴェン,シューマン
  • 出版社/メーカー: マーキュリー・ミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 1999/02/17
  • メディア: CD


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第29番&第32番

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第29番&第32番

  • アーティスト: ポリーニ(マウリツィオ),ベートーヴェン
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2002/10/09
  • メディア: CD













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経年の結晶 [音楽]

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ブラームス/ピアノ四重奏曲第3番ハ短調op.60


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第1楽章 アレグロ  マ ノントロッポ
第2楽章 スケルツォ: アレグロ
第3楽章 アンダンテ
第4楽章 フィナーレ:アレグロ コモド

ブラームスのピアノは独奏で聴く時とアンサンブルの中に入った時とではその役割を緻密に計算されているだけ渋くくすんだ音色が弦楽の醸す多彩に融和して全く別の魅力を発揮する。
この第3番のピアノ・クアルテットは元々第1番や第2番に先駆けて作曲された嬰ハ短調の作品を生来の慎重居士であったブラームスの性格が推敲の果てに作曲から20年を経て改定されて世に出たものだ。
初演はブラームスのピアノとヘルメスベルガー四重奏団のメンバーで行われており、そのメンバーの中では特に名を馳せたチェリスト、ダーヴィド・ポッパー(あんまり聴かれないけれど、ボクはこのチェリストの第2チェロ協奏曲がとても好きなのです。)のパートに非常に大きな役割を与えている。
特に第3楽章の幅の広い豊かな歌はそのチェロの歌なしには成り立たない。
ピアノの第一音から第1主題は上昇することなく、痛切で陰鬱。
死を悼む」調べのような弦楽のトリオにピアノのc音が重なる。
ここから体力勝負のようなパテティック主題が展開されたあと、ピアノの歌う歌にあわせて雲間から光が指すように細かく弾かれる弦楽のまとまりにはベートーヴェンの第7交響曲のリズムが記憶の頭をもたげる。
しかし畳みかけるピアノとアンサンブルの隙間は詰まっていてロマンティックな熱気は内圧を高めながら情熱は逃げ場のない密封状態で自ら焦げ付くまで高まる。
各主題をつなぐ4つの変奏がブラームスの堅牢なロマンティシズムを緩やかに冷却し穏やかに深呼吸をさせる。
聴きようによってはとても耐えられない痛みを伴った葬送の音楽のようにも聴こえる。
第2楽章のスケルツォはスラビックなダンス音楽の原型を保っていてステップやしなやかに回る体の流れをイメージさせる。
でも、それは第1楽章に不要な葬送のイメージを持ってしまうと、横たわる冷えきった青年の屍の周りで踊る死の舞のようにも聞こえてしまう。
要するにその暗さをたたえた音楽であることはロマンティックであることと同じレベルの物語性を持っている。
20年かかった完成までのきっかけと、きっかけから純粋な音楽的完成にこぎつけた時間の中に流れたものは明から暗までの朱夏から白秋までのブラームス自身の心の有り様を指しているのかもしれない。。
その第2楽章があってこその第3楽章のアンダンテ。
この音楽は素晴らしいよ。
ボクのチェロ好きが余計にそう思わせるのだろうけど、ホ長調の瞑想的なチェロの旋律はブラームスのチェロを扱った音楽で白眉だね。
YouTubeの中で3楽章だけ観ることができる。
ゴーティエ・カピュソンの陶然たる表情が込めた感情がどのへんの空間にあるかわかるような気がしてつい見とれてしまった。
ヨーヨーマもこういった表情をするけれど、正直このアントニオ・バンデラスに貴腐ワインを飲ませたようなお兄さんの表情には勝てないね。
頭ははげちゃってるけど、ヴァオリンはサルバトーレ・アッカルドらしい。
ピアノはメナヘム・プレスラー。
この人はピアノトリオが長かった人でとても素晴らしい。
渋いアンサンブルが弱音になった時、軽々と底から浮き上がってくる音色が絶妙の呼吸ですね。
ヴィオラは…わかんないな。
でもアッカルドのパートに重なってくときの微妙な音色のやりとりは緻密で素晴らしい、チェロが音を聞きながらそこをヴィオラが抜けてくるコーダ近くの部分はほんとうに美しい。交響曲第1番のヴァイオリンと同じ手法ですね。
画像が見えるってことは以前ほど文章で音楽を聞かそうという力味がなくなったと自分では思うけど、余計な想像が羽ばたいてしょうがない。
えーと、そうそう第4楽章もエネルギッシュなんだけれどピアノのなんていうか弦楽器で言う無窮動的なリードに合わせてヴァイオリンが歌い上げながら高まってゆく時にピアノに現れてくる音形はベートーヴェンのいわゆる運命のリズム。
経過部で明確にそのリズムが総奏され、ブラームス特有の憂いのアレグロに加わるベートーヴェン的ベクトルが説得力の大半を占めています。
まるで合作のような…


それぞれの楽章が魅力的で複雑ですが、ここは出色のこの方たちの一期一会を

第2楽章 アンダンテ

ブラームス:ピアノ五重奏曲、ピアノ四重奏曲第3番

ブラームス:ピアノ五重奏曲、ピアノ四重奏曲第3番

  • アーティスト: ブラームス
  • 出版社/メーカー: 日本コロムビア
  • 発売日: 2013/06/05
  • メディア: CD

ブラームス:ピアノ四重奏曲第1番、第2番、第3番

ブラームス:ピアノ四重奏曲第1番、第2番、第3番

  • アーティスト: バリリ四重奏団,ブラームス,デムス(イェルク)
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2007/12/19
  • メディア: CD


Brahms: Piano Quartet No. 3. Schumann: Piano Quart

Brahms: Piano Quartet No. 3. Schumann: Piano Quart

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Decca
  • 発売日: 2014/06/03
  • メディア: CD

ブラームス:ピアノ四重奏曲第1

ブラームス:ピアノ四重奏曲第1

  • アーティスト: ブラームス,ギレリス(エミール),アマデウス弦楽四重奏団員
  • 出版社/メーカー: ポリドール
  • 発売日: 1996/10/02
  • メディア: CD






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音の音詩 [音楽]

いやあ、久しぶりに暇ができたんだけど、アップロードを失敗して一度削除してしまった。
先に下書き用にしとかないとダメなんだね。しばらくやらなかったらジジイの記憶力は恐竜並だな。[あせあせ(飛び散る汗)]リハビリ、リハビリ。


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イザイ/詩曲 悲劇的詩曲 op.12


彼の代表的な作品はあまりにも高度な技術的ゆとりを必要とするが故に演奏される機会が極めて少ないが故に、イザイ自身の演奏を超えるものはいまだに聴いたことがない。
彼のバッハを強く意識した無伴奏はいくつか紹介したことがあるし、子守唄なんかも取り上げたことがある。
素直に凄いと思ったり、リリカルに感じたもの。
でも、この作品は、何度か紹介しようとして書きかけてはやめにしていた。
正直、「さあ、書こう」と思ってヘッドフォンで流しながらキーを叩こうとするたび聞き流していた部分に深い呼吸の闇に気づいたりして「ありゃ?」ってなもんで、このへんからと思っていた切り口がブレる。
で、「今度にしよう…」とか考えながらこの前も古代の巨大ナマケモノの骨格の形成に時間を割いていてすっかり忘れていた。
今聴き直しても、難物である。
それは難解であるということではない。
晦渋であるということでもないと思っている。
でも美しいかというとそうではない。
この作品は彼の中にある情熱を悲劇的なテーマに乗せてヴァイオリンの音色が醸す繊細な音詩の中に織り込んでゆく。
その作業が詩的な、例えば白紙に書かれたれた『涙』という文字の前後左右には見ることができないけれど、音の中には『涙』の前に滲んで広がるそれ以前の音の残り香と
『…だ』に続く歌の響きが流れる。
そこに演奏者のその部分に寄せる思い入れが様々な聴き手の好き嫌いに反映する。そういう要素もある。
『詩的な』という言葉には短い言葉の繋がりによって感じる形と言葉が抜けた後に残る表現の穴に流れ込む行間のニュアンスにある気品や香気を意識した意味が間違いなくある。
表現が消費する時間の長さがその詩的な時間であると。
擦過音による弦楽器は比較的容易なのかもしれない。(ぶん殴られるかなあ容易なんていうと。)
例えばギターなんかではどうか、弦にはメーカーによって弾いた時の音色や、豊麗な響きや、音の太さ細さがあるのはわかる。
その素の特徴と楽曲の特徴、音の間をそれぞれの楽曲にあった使い方をし、弾き方をするまだ先に解釈ってのがあるね。
これは特徴は違ってもすべての弦楽器にもあるし、楽器自体の個性にもある。
ボクはギターを弾く友達はいるけれど、自分自身はコードとアルペシオで伴奏するくらいしかできないので。
技術の高さと表現力の高さが未聴の高さで結びついた演奏を聞いたことがない。
とても可能性が広い楽器だけれど、ボクにはその一部分すら掘り下げる時間がない。ちょっと悔しいけどね。
話がいつもどうりそれた。
イザイのこの作品は
ロマンティックで情熱的なテーマを繰り返してゆく幻想曲形式を取る。
元々オーケストラとヴァイオリンのための作品なのでピアノの表現力はオケを凌駕する音域の中でとても気を使う色彩感覚をもってサポートする必要がある。
伴奏に終始するとこの曲の技術が鼻につく。
でも、このレベルの演奏は本当の楽曲の魅力を聴かせてくれる。
悲劇的というよりも、一度そういう思いをに飲み込んだ後の挽歌を聴いているように感じる。
セピア色に褪せた昔の手紙が端から炎をまとって捲れてゆく。
その炎の色は燃えているかどうか一見わからないほど紙の色に似ていてただ、文字を焦がしてゆく焦げ茶色の縞の広がりで燃えているのがわかる。
テーマはそんなイメージをボクに与える。

その手紙の内容はわからないけれど。


イザイ:ヴァイオリンと管弦楽のための作品集 (Ysaye: Works for Violin & Orchestra)

イザイ:ヴァイオリンと管弦楽のための作品集 (Ysaye: Works for Violin & Orchestra)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: CPO (ヴァイオリンとピアノ版ではありませんが)
  • 発売日: 2006/04/01
  • メディア: CD









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音楽が考えさせてくれること。 [音楽]

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J.S.バッハ/ゴールドベルク変奏曲 BWV988 弦楽トリオによる

BWV988はすべての和声を3つの弦楽に委ねている。
ハープシコードでつくられた音楽であったなら、編曲の発想はあってもおかしくはない。
実際にバッハは他の作曲家の作品も含めて編曲にも稀類ない才能を発揮していた。
以前弦楽のアンサンブルで聴いたことがある。
そう思ってYouTubeを探したが、ボクの聴いたのと同じかどうかは知らぬが、イメージしたものが聴けた。
その演奏は現代にあって飽和した音響の中から生み出されたように思うけれど、その音色は限りなくバロックである。

現代のフォルテピアノで聴き慣れた音楽はクラシックという名でまとめられた伝統音楽にもう一度姿を変える。
アリアの美しさはいつもの密度の濃い硬質の音塊から届くものでなく、ヴァイオリンの弓に張られたヘアが触れる弦の細微の音色が束になる。
その一様でない音塊は縦の深みではなく、空間に横に広がってゆく。
ボクの耳はその一部分しか捉えられない中途半端なものだけれど、それでも引き出されてくる音楽は華やかである。
でも、その演奏は以前聴いた時に覚えた楽器が多くなるほど、薄くなってくるような印象は払拭してはくれなかった。
それとは異なる、ここで紹介した演奏は未だに作曲された時代の様式の中に作品の価値を見出そうとする人々にはどう聞こえるだろうか。
ハープシコードのためのこの楽曲をピアノで弾くことには苦々しくも妥協してくれはしても、弦楽合奏にまで許容の範囲を広げてくれるものかいささか疑問も持つ。
それでも、これは、この演奏は素晴らしい。
3つの楽器でグレン・グールドの霊感に寄り添うように解け合い、束ねあわされる和声。
彼らのアプローチはバロックの音色を越えて響く。
今井信子のヴィオラは燻された高音にストイックな陰りを加え、音楽の規則的なフォーマットを闊達に操るマイスキーのチェロ(彼の無伴奏よりいい。)の上をシュロモ・ミンツのヴァイオリンのような甘美な響きに、数滴の哀切を載せるジュリアン・ラクリンの音色が一期一会の精妙を聴かせる。
一瞬、シェーンベルクの作品を聴くときのヴァイオリンとヴィオラとチェロの僅かな距離のもつもどかしいような『かなしみ』を思い出させる。
アリアの孤独、ジーグの解けた心、ボクがグールドの後年の演奏に感じた微細から広さを感じた、作品そのものを超えたバッハの形をもう一度体感したような気持ちにさせた。
立て続けに3度ばかり通して聴いたが、その印象は変わらない。
今、4度目の最後のアリアがヴァイオリンによって歌い出され始めた。


この演奏はグレン・グールドを偲んで捧げられている。



Goldberg Variations - Arranged for String Trio

Goldberg Variations - Arranged for String Trio

  • アーティスト: Johann Sebastian Bach
  • 出版社/メーカー: Deutsche Grammophon
  • 発売日: 2007/04/10
  • メディア: CD






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あっつーい渋茶でレーガーを [音楽]

マックス・レーガー/ピアノ五重奏曲ハ短調 1898年 遺作

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第1楽章 アジタート
第2楽章 インテルメッツォ:アンダンティーノ コン グラツィア
第3楽章 アダージオ コン ヴァリアツィオーニ.カンタービレ
第4楽章 プレスト(マ ノン タント-ァラ カプリース)


全23枚(だっけ?)のCDを購入し、いつでも聴ける態勢になった途端、なんとなく時間に押され、ぐずぐずと機会を延ばしていた
マックス・レーガーの室内楽全集だったけれど、まあ、考えてみれば(ちっとも考えてみたくなんかなかったけれど)ちょこちょこ気になる演奏はCDやテープのPCM録音で既聴してたわけで、
作品自体はほとんど聴いたことがあったことに気がついた。
老人性健忘症(アルツハイマーとは思いたくねえ)のなせる業だね。
ま、要するに衝動買いだったのだね。いつかの記事で書いた結論に間違いはなかった。
いや、自慢することはこれっぽっちもないね。

せっかく買ったんだからと、カタログにある作品をYouTubeで確認してから紹介することにした。
彼の弦楽四重奏とピアノのアンサンブルを採った五重奏曲は2曲あるが、よく演奏されるのはこの1898年の遺作のほうらしい。
第1楽章はかなり不機嫌なブラームス。
ちゃぶ台(んなものはなかったろうけど)をひっくり返しそうな勢いのアジタート。
どこかブラームスの第1シンフォニーや第1ピアノ協奏曲が聞こえてきそうな感じ。
とても渋いけれど、聴き込んでくるとやられそうな魅力はある。
彼のあまり多くないピアノ曲なんかを聴いているとご面相からは窺えないようなリリカルな一面も見え、それが重層的な弦楽の体位の中でシンフォニックな歌になって聞こえはじめると『こりゃ、凄いや』と素直に脱帽した。
ただ、ずっと思ってきたことだけど、彼の鍵盤楽器の弱音には自然に湧き上がるようなリリシズムがない。
完璧にコントロールされたパトスにすがり付いて這い上がってくる切なさが、ポイ…と投げ捨てられているようでいて、実はその音の重さ響きによってひずむ音空間のかすかな揺らぎまで書き込もうとしているかのように感じる。
重そうなんだけど、肌理があって聴くものに同化よりも客観性を強いる。
美しい音楽ではない。
だけど、美しさを求めずにすむ音楽です
第2楽章のピツィカートはシベリウスの少年期の無垢なリズムを思い出させた。
短いけれど、彼の感性が決して歌うことを捨てていないことを感じさせてくれる。
情景的な音楽である。
第3楽章はまさにレーガーの屈折した叙情がとても素直に歌になっている。変奏形式のやさしいドラマ。
渋ーいお茶でいただく虎屋かなんかの羊羹みたい。
いくつかの変奏が旋律の帯に当たる光をさまざまな濃さの色合いに染めてゆく。
単独で聴いてもあまり魅力的だとボクは思わないんだけど、才能にはちょっと鳥肌が立つ。
もっとピアノに切れがあればと感じてしまう。11分以上の音楽。長いけど、いろんな音楽が詰まっていて面白い。
第4楽章はこれだけ第1楽章から遠ざかってしまってどういう始末をつけるのかと、初めて聴いたときの記憶がまざまざと蘇った。
フーガの規則性を持ちつつ、気分的なうつろいが早く、ぼくのCDとおそらくは同じソースだろうけど、もう少し、各楽器の距離感が感じられる録音が出来ていればこの楽章が一番すばらしいと感じたかもしれない。

蒸し暑い時期にあまり聞きたいと思う音楽ではないが、聴けるということはもう直ぐ秋が来るのかも知れん。

Satz1 00.01
Satz2 12.28
Satz3 16.40
Satz4 27.58

T.T 34.59
 

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