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愁曲 [映画-音楽]

みじかくも美しく燃え

みじかくも美しく燃え

  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • メディア: DVD

『短くも美しく燃え』というスウェーデン映画をボクが観たのはその映画が1967年に公開されてから、数年後であったと思う。
僕が通っていた高校から電車通りをしばらく歩いていった場所にあった場末の3本立ての映画館で、どっかの文化系のクラブの高校生男女数人で観に行ったのをかすかに覚えている。

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ふたつめのため息 [映画-音楽]

SospiriあるいはSospiro 国によってわずかに発音が違うらしい。
ひとつ目のため息はピアノで奏される。
リストのSospiroはいかにもリストの器用なピアノによって語られた技術的印象であり、リストがあまり好きでないボクはここから情動的なものを拾うことができない。
もっと簡潔な音で単純に表せる内容だと思うけれど、リストはそうはしない。
これは聴衆につかせるため息だと聴いていて思った。
昔のピアニストの技量は現代のピアニストの演奏技術では割りきれない評価があったらしい。
速く弾く。
ミスタッチがあってもいい。
技術が超絶していれば巨匠であった。
リストによって片っ端からパラフレーズされたベートーヴェンの交響曲なんかがいい例です。
ふたつ目のため息は、これは作品がつく長い嘆息。
悲嘆と諦め、それはやはり旋律の楽器でなければ出ない類の表現なのだと感じ入る。
エルガーの弦楽合奏によるSospiri。
ヴァイオリンもいいけれど、さらにチェロだと嫋々とした哀しみを感じる。
ナタリー・クレインのチェロで聴いた。

Elgar: Cello Concerto

Elgar: Cello Concerto

  • アーティスト: Natalie Clein,Edward Elgar,Vernon Handley,Royal Liverpool Philharmonic Orchestra
  • 出版社/メーカー: EMI Classics
  • 発売日: 2008/02/05
  • メディア: CD


ナタリー・クレインといえば確か、エルガーのテレビ・ドラマのシーンで彼のチェロ協奏曲のむせび泣くようなフレーズを弾いていた。
美しいチェリストというより、ボクはつい最近まで本業は女優さんだとばかり思っていました。
エルガーは母国イギリスでは何度かドラマ化されています。
彼の作曲活動が様々な女性によって動機づけられていることはよく知られていますが、彼の妻アリスをはじめ様々な女性が彼の作品に投影されています。
この曲も、短いですが長いため息のような旋律の中に悲恋への万感がこもっているようで、終わることがわかっていて元に戻れないのに愛おしく両手をさしのべたまま空しく時が過ぎて行くような何ともやるせないエレジーです。誰に対してのため息なのでしょうか。
エルガーは男らしい気質の持ち主ではあったのですが、イギリスの男っていうのは愛に脆いんですよね。
男らしくありたいと思う気持ちと裏腹にこういう余韻嫋々とした作品を書く。
「威風堂々」は雄ライオンのたてがみのようなものなんですね。


あるイギリスの作曲家の物語『エルガーの第10番目の女神』というDVDがカタログにありました。

Tenth's Muse: The Life of an English Composer

Tenth's Muse: The Life of an English Composer

  • 出版社/メーカー: Kultur Video
  • メディア: DVD

Elgar: Symphony No. 1; Elegy For Strings; Sospiri

Elgar: Symphony No. 1; Elegy For Strings; Sospiri

  • アーティスト: Edward Elgar,Andrew Davis,BBC Symphony Orchestra
  • 出版社/メーカー: Apex
  • 発売日: 2002/11/25
  • メディア: CD

Elgar: Sospiri - Music for Violin and Piano

Elgar: Sospiri - Music for Violin and Piano

  • アーティスト: Edward Elgar,Julian Milford,Lydia Mordkovitch
  • 出版社/メーカー: Chandos
  • 発売日: 1998/05/19
  • メディア: CD

Elgar: Symphonies 1 & 2; Cockaigne; Sospiri

Elgar: Symphonies 1 & 2; Cockaigne; Sospiri

  • アーティスト: Edward Elgar,Jeffrey Tate,London Symphony Orchestra
  • 出版社/メーカー: EMI
  • 発売日: 2004/06/01
  • メディア: CD

 

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シャイン [映画-音楽]

破壊された魂のピアノ

かつてピアニスト中村紘子は自分の著書の中で、「ピアニストはプロレスラーのような逞しい肩を持っている」と書いていた。
その時、デヴィッド・ヘルフゴッドにはその肩がなかった。
モンスターをねじ伏せる逞しさがなかったのか、血は沸騰し、全てをやり遂げた瞬間に彼は一度神のもとに帰った。
残ったものはかつて彼が自我を押し殺した中で分離してしまったもう1人の純真。
ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第3番、第1楽章のカデンツァ。

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マイ・ブルーベリー・ナイツ [映画-音楽]


ノラ・ジョーンズ(第一回主演作)

ブルーノートからデビューし、2002年2月26日弱冠22歳でデビューアルバム "Come Away With Me" (邦題『ノラ・ジョーンズ』)で衝撃的なグラミー賞8部門受賞し、『Don't Know Why』をボクの耳に焼き付けた。

彼女は生まれた時既に離婚していたがビートルズ後期世代にはお馴染みのインドのシタールの名手ラヴィ・シャンカールを父に持っている。その音楽的な繊細さは明らかに彼女の血の中にあり、音楽の中に流れている。ジャズシンガーとしてもピアニストとしても近来稀に見る逸材であり、わかりやすさと純粋さが、その歌の暖かい深部にあるソウルフルな温度を感じさせる。

その彼女の2002年の初主演映画(カンヌ映画祭オープニング)であり、全編に流れる彼女のロマンティックでジャージィな歌が非常に印象に残る。

遅れた公開だけど、日本では3月。公開が待たれる。

これは切なくも暖かい愛の映画です。






ラフマニノフ ある愛の調べ [映画-音楽]

世界でもっとも美しく、もっとも弾きこなすことが困難な名曲を生み出す作曲家であり、同時に“魔法の手”でその曲を完璧に演奏できる天才ピアニスト、セルゲイ・ラフマニノフ。
彼のアメリカ亡命から、作曲家として突き当たる創造性の枯渇の苦悩と過去と現在の紡ぎ出す愛による復活。
商業映画としてその実力を世界に示したパーヴェル・ルンギン監督(「タクシー・ブルース」カンヌ国際映画祭最優秀監督賞受賞)がロシア映画・演劇界を代表するキャストをそろえ、この最も特徴のあるピアニストの演奏を自信のカメラワークで再現しようとしています。日本ではゴールデンウィーク公開ですが、このラフマニノフはあなたのイメージに合っているでしょうか。
ボクは観たい映画です。


 




敬愛なるベートーヴェン [映画-音楽]

遅まきながらCopying Beethoven『敬愛なるベートーヴェン』を観ました。
古典音楽ものでは近年にない、しっかりしたつくりになっている。
ベートーヴェンの最晩年を描くため、虚実を織り交ぜてゆくが、音符と音符
の間の静謐に関して、晩年の彼の作品に感じる非作為とも思える、情緒的な静けさと内省的な美が混然となった作風が語られる

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パガニーニの主題による狂詩曲  [映画-音楽]

ラフマニノフ/パガニーニの主題による狂詩曲イ短調 op.43


この曲はいつもレコードやCDでは時間合わせのカップリングとして、ピアノ協奏曲第2番や第3番の余白を埋めるように録音されたりする。
けれど、もちろんその様な便利な演目としてのみ存在する作品ではない。
協奏的にオーケストラと対峙して独奏するようないわゆるピアノ協奏曲ではなく、オーケストラの説得力ある重要なパーツの一つとしてピアノは陰に陽に動き回る。
技巧的に難曲であることは間違いないけれど、他の協奏的作品と同様、技巧が技巧として裸で知覚されるような露骨な主張はない。
この辺がラフマニノフの作曲家としての良識であり、矜持であるようだ。
25部の細かい部分に分かれる曲だけれど、主題は、序奏でその動機が示された後、第1曲目の変奏の後で、ピアノとヴァイオリンによって示される。
…と、解説をしたところで所詮素人の話だからやめにする。
前にもどこかで書いたけれど、この曲は多くの有名無名の映画のシーンで使われている。



麗しのサブリナ

麗しのサブリナ



  • 出版社/メーカー: パラマウント ジャパン
  • 発売日: 2005/03/25
  • メディア: DVD



    説明無用の名作。ヘプバーンファンのボクはこの映画も20回は観てるね。

ある日どこかで

ある日どこかで



  • 出版社/メーカー: ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
  • 発売日: 2007/01/25
  • メディア: DVD




    クリストファー・リーヴがスーパーマンから脱皮した記念すべき作品。不思議なラブストーリィです。

愛と死の間で

愛と死の間で



  • 出版社/メーカー: パラマウント ジャパン
  • 発売日: 2005/03/25
  • メディア: DVD


  • サスペンスです。邦題はよくわからないですが、DEAD AGAINは非常にわかりやすい題名です。

特に第18変奏のアンダンテ・カンタービレはあまりにも有名で使われる部分はほとんどこの第18変奏部分だったと思う。
その他に聴くべき部分がないのかと言えばそうではなくて、全体の流れの中で澱むところは全くなく、第24曲目つまり序奏部をのぞいて最後の部分は10度を掴むビッグハンドが求められる難曲で、聴き応え十分なアピールもある。
まさにラフマニノフの為の作品であり、実際に彼は1934年レオポルト・ストコフスキーの指揮フィラデルフィア管弦楽団と初演を行っている。

 
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1

  • アーティスト: ラフマニノフ(セルゲイ),ラフマニノフ,オーマンディ(ユージン),ストコフスキー(レオポルド),フィラデルフィア管弦楽団
  • 出版社/メーカー: BMGビクター
  • 発売日: 1990/06/21
  • メディア: CD

録音は古今様々なピアニストが行っている。
つまり、ピアノ協奏曲全集とか中途半端な長さの1番とか4番と合わせて一緒に録音されるので、そうそうたるピアニストの演目に残ることになる。
例えばルービンシュタイン、リヒテル、アシュケナージ、ハンガリーの気鋭ゾルタン・コチシュ、チャイコフスキー・コンクール・グランプリで華々しい凱旋をして以来、コンクールの名前でしかお目にかからなくなったヴァン・クライバーン等々

 


中でも、ボクはアシュケナージとハイティンク指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管のものとルービンシュタインがオーマンディ指揮フィラデルフィア管と行ったものの2種類をよく聴く。前者は弱音のニュアンスが暖かく、ふくよかで、ロマンティックな上にさらにロマンティックです。後者はオーケストラがライナーのマッシヴな指揮ぶりに合っていて凄いです。ルービンシュタインのピアノはやはり魅力的な音色で飽きが来ないですね。古いけど、音はまあまあです。





ラフマニノフ:ピアノ協奏曲全集

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲全集



  • アーティスト: ハイティンク(ベルナルト) アシュケナージ(ヴラディーミル), ラフマニノフ, ハイティンク(ベルナルト), アシュケナージ(ヴラディーミル), ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団, フィルハーモニア管弦楽団
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2007/06/20
  • メディア: CD

ラフマニノフ : ピアノ協奏曲第2番&パガニーニ狂詩曲

ラフマニノフ : ピアノ協奏曲第2番&パガニーニ狂詩曲

  • アーティスト: ルービンシュタイン(アルトゥール),ラフマニノフ,ライナー(フリッツ),シカゴ交響楽団
  • 出版社/メーカー: BMGインターナショナル
  • 発売日: 2000/10/25
    メディア: CD(おすすめ!)

 

 

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哀愁のトロイメライ [映画-音楽]

出色の出来映え!
先日ケン・ラッセルのマーラーでこけたばかりだったので(その前の「若き日のトスカニーニ」に至っては書く気にもならなかった)、あんまり期待していなかったけど、配役が半端じゃなかったので『もしや…』と思って観てみた。
基本的にロマンスものという設定だけれど、全てが本気の映画でした。
ナスターシャ・キンスキーのクララ・シューマンはヘルベルト・グリューネマイヤーのロベルトとともに、まさにはまり役でした。芸術家としての敬意と男と女としての愛情の交錯する中で、その心情を映し出し、歌い紡ぐピアノのシーンで、代役の指がポロポロでたり、感に堪えぬような弾いた振りの演奏などはどこにもなく、そこにある愛とピアノのロマンティックな歌が絶妙なシーンを作り出します。
病んで行く影が時折眉間に見えるロベルトの指先が聴かせるトロイメライの旋律は、妥協のない役者根性の賜でしょうが、見事でした。というより、本業がピアニストであるこの人の演技の努力に拍手を送るべきなのでしょうか。
キンスキーのピアノも見事です。
天才女流ピアニストを演じるに、破綻のない見事さで、かつて映画『コンペティション』でリチャード・ドレイファスの、ピアノを弾いたことのない役者の、ピアニストの演技を観て、憤然と席を蹴って有楽町のシネマ1を出た頃をふと思い返しました。
美しく、しかも自然に流れる感情に寄り添う音楽達。
音楽家に限らず、芸術家を描く映画は、ともすればエキセントリックになりがちですが、この映画は素晴らしいです。
ニコロ・パガニーニ役にはこれ以上に合う人がいないだろうという現代を代表するヴァイオリニスト、鬼才ギドン・クレーメルが扮しています。
あんまりドンピシャリなので笑ってしまいました。
この人は素でも、十分にパガニーニのような悪魔的雰囲気を漂わせる人ですが、喜んでやってますね。
上手いのは当たり前ですが、本気で作った映画だとよっくわかります。
本当のギドンはシャイな人だけど、あの上唇と下唇の厚さが同じ大きな口を開けて笑うと悪魔的です。
(奥さんのエレナはきれいな人だったけど西側に来て別れたのかな?夫婦で録音したシューベルトの幻想曲は出色でした。)


音楽のクオリティが高く、そばに置いて何度でも観返せるそんな映画でした。


 
哀愁のトロイメライ/クララ・シューマン物語

哀愁のトロイメライ/クララ・シューマン物語

  • 出版社/メーカー: エスピーオー
  • メディア: DVD

 
哀愁のトロイメライ/クララ・シューマン物語 廉価版

哀愁のトロイメライ/クララ・シューマン物語 廉価版



  • 出版社/メーカー: IMAGICA
  • 発売日: 2006/04/28
  • メディア: DVD









ア・パガニーニ/クレーメル無伴奏リサイタル

ア・パガニーニ/クレーメル無伴奏リサイタル



  • アーティスト: クレーメル(ギドン), ロックバーグ, ミルシテイン, シュニトケ, エルンスト
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2006/01/13
  • メディア: CD



シューマン:ヴァイオリンソナタ第1番&第2番

シューマン:ヴァイオリンソナタ第1番&第2番



  • アーティスト: クレーメル(ギドン), シューマン, アルゲリッチ(マルタ)
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2006/04/12
  • メディア: CD




    バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パ

    バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パ

    • アーティスト: クレーメル(ギドン),バッハ
    • 出版社/メーカー: マーキュリー・ミュージックエンタテインメント
    • 発売日: 1996/06/05
    • メディア: CD




 


 

 


マーラーという映画 [映画-音楽]

ケン・ラッセルという監督は正直あまり好きではない。
比喩が多すぎ通俗的で、象徴するものが俗物的だ。ヴィスコンティのパロディなんか何の意味もない。
でも、多かれ少なかれ、音楽家を描いた映画はこんな風になるものが多い。
一部例外はあるけれど。マーラーの音楽には長大にならなければならなかった理由が何処かにあって、屈折と憂鬱が支配する20世紀のデカダンスの匂いを本能的にかぎ取っていたところがある。
旅をすればするほどヨーロッパにはその空気が溢れ、清新なアメリカのような所では彼の神経は長く耐えられない。
「やがて私の時代が来る」
その言葉は彼の音楽が理解されることを指しているかに見えるが、彼と同じように倦み、悶える文化の時代が彼の苦しみと同化してゆく、終末の世紀の訪れを期待しているかのようにも聞こえる。
ケン・ラッセルが挿入するマーラーの交響曲の多くの断片は、様々な曲からとられてはいるが、全てが同じ憂いの方向を向いていて変化がない。
美しい自然が人為的に映像で見せられている。
マーラーの音楽にある自然に対する不自然さが映像自体に象徴されている。
ブルックナーというこれは全く映画なんかになりにくい作曲家だけれど、彼の音楽も同じように長いけれど、聞こえてくる音の中には常に自然があって、彼はその恩恵を十分に受けた音楽をボク達に残した。
マーラーはモーツアルトが極めて短いフレーズで書ききったことを長大な音楽にしなければ語れなかった。
ブルックナーと違って人工的な音の学問を感じさせる。
ただ一点、ロバート・パウエルの眼鏡をかけた横顔が、マーラー自身に見えるほど見事に似ている。
列車の中の夫婦の椅子の距離が示すわかりやすい愛情の剥離の中で、深く刻まれた眉間に光りと影が交差する。
それだけで人物の複雑さが描かれているのだから、それ以上の説明は要らないのに、ケン・ラッセルはやっぱりちょっとやりすぎだね。


 
マーラー

マーラー

  • 出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ
  • メディア: DVD



 


 

 


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父と暮らせば-ブラームス-クラリネット五重奏曲 [映画-音楽]

宮沢りえという女優は、屈折せざるを言えなかった過去をもう完全に振り切ることはしないで、その細身の体にすっぽりと全てを包み込んで佇んでいる。
かつての若やいだ鮮烈さと斬新でコケットな、生のままの魅力ではなく、芯のあるしなやかさがスクリーンからはずれた部分でも空気みたいに存在している。
この映画は原爆投下後3年を経た主人公の生き様をほのぼのとした内省から現れる父の幻影(=幽霊原田芳雄)との対話の中に凄惨な悲劇の中から明るい日射しの中へ歩み出す女性の姿を優しいタッチで描いている。
原作には出てこない人物、原爆資料を収集している木下(浅野忠信)を原爆という過去と心を捉える未来の希望として配置し、意識の綾を恋と明日へのほのかな希望と、愛するものを一瞬にして失い、自分だけが生き残った戦争の悲惨と後ろめたさの両翼から折り合わせて進めてゆく。
ブラームスのクラリネット五重奏曲はその中でしっとりと心象を支え、無言のフォーマットを作り上げる。
音楽と映像が溶け合った瞬間がここにもあった。
登場人物が極めて少ない原作の姿をふまえ、3人に絞った構成がシンプルで見るものに背景に思いを馳せるゆとりを与えてくれる。
名匠黒木和雄の戦争3部作の最後の作品としてふさわしい静かな物語です。



 


 


 


 



父と暮せば 通常版

父と暮せば 通常版

  • 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
  • メディア: DVD




ブラームス:クラリネット五重奏曲

ブラームス:クラリネット五重奏曲



  • アーティスト: プリンツ(アルフレート), ブラームス, ウィーン室内合奏団
  • 出版社/メーカー: コロムビアミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 2004/03/24
  • メディア: CD



モーツァルト:クラリネット五重奏曲

モーツァルト:クラリネット五重奏曲

  • アーティスト: シュミードル(ペーター),モーツァルト,ブラームス,新ウィーン八重奏団
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2003/06/25
  • メディア: CD
(おすすめ!)


モーツァルト:クラリネット五重奏曲

モーツァルト:クラリネット五重奏曲

  • アーティスト: ウラッハ(レオポルト),モーツァルト,ブラームス,ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2001/11/28
  • メディア: CD


 

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